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いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

最後のクリスマス・プレゼント



最後のクリスマス・プレゼント



サンタじいさんが、ゆっくり目をとじました。

こうすれば、子供たちがどんなプレゼントを欲しがっているか、
手に取るように分かるのです。

「おお、ヘンリーくんはラジコン・カーだ。
やっぱり男の子だなあ」

「ああ、キャロルちゃんはお台所セットだ。
あこがれのママになりたいんだ」

そのとき、悲しげな感情がサンタじいさんの心にすうっと
流れ込んできました。

「おやっ、何だろう?」

サンタじいさんは、流れ込んできた感情に意識を集中して
みました。

「サンタさん、サンタさん、私はもうすぐ死んじゃうの。
お願いです。私に”いのち”をください!」

クララの声です。
クララは重い病気にかかっていて、あと少ししかこの世に
いられないのです。

サンタじいさんは、クララの悲痛な願いに応えることの
できない自分を情けなく思いました。


「ごめんね。何もしてあげられなくて・・・・」



クリスマスの日がやって来ました。


サンタじいさんは、子供たち一人ひとりに願いどおりの
プレゼントを配って回りました。


そして、最後にクララの家に着きました。


クララの寝顔が見えます。


ベッドの周りを両親と兄弟、そして親戚の人が取り囲んで
います。

白衣を着たお医者さんがクララの手首を持っています。

お医者さんが首を横に振っています。


「クララ、死んじゃいやだ!」

「いっちゃダメだ!」

周りのみんなは、目を真っ赤にして泣きながら叫んでいます。


サンタじいさんも、窓の外で泣いています。

そして星空を見上げました。

すると雲間に見える星々が、いっせいにウインクするように
またたきました。


サンタじいさんは、ゆっくり目を閉じました。



★彡 ★ ★彡 ★ ★彡 ★ ★彡



クララの目がゆっくり開きました。

まなざしに力がよみがえっています。


お医者さんは、一瞬、驚きましたが、すぐにみんなに明るい
声をかけました。

「素晴らしい。奇跡です。みんなの願いが叶いました。
もう大丈夫です!」


「ヤッター」

「クララすごいぞ!」

「神様、感謝します!」


まるでお祭り騒ぎです。


クララにとって、家族にとって、そしてみんなにとっての
最高のクリスマス・プレゼントになりました。



クララが口を開きました。


「わたし、サンタさんにお願いしたの。”いのち”をくださいって。
お願いが届いたのね。サンタさん、ありがとう。
ほら、窓の外にサンタさんが・・・・」


家族のみんなが、サンタさんにお礼を言おうと外に出ました。


誰もいないようです。


「あっ、あれをみて!」


お母さんが、庭に積もった雪を指さしました。


そこにはこう書いてありました。

「いのちを大切にね」


サンタじいさんの涙の跡です。


その言葉も、降り積もる雪に埋もれて、あっというまに
消えてしまいました。



その夜以来、クリスマスになっても子供たちにプレゼントが
届かなくなりました。



それからです。


毎年、クリスマスになると、世の中に無数のサンタさんが
現れるようになりました。


サンタじいさんの想いがクララを通じて、全世界に伝わって
いったのです。



サンタクロースは確かにいます。


今でも、みんなのすぐ近くに・・・・・。


サンタじいさん、ありがとう!

               【by いいこと探検家】



サンタさんへのプレゼント


電子絵本になりました



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